BiSH、目指すは東京ドームか 新たな戦いが始まった横アリ公演

音楽

 BiSHが5月22日、横浜アリーナで、ワンマンライブ『BiSH “TO THE END”』を開催した。開催日が平日にも関わらず、チケットが販売になるや瞬く間にソールドアウトを記録したこの日のワンマン。盛り上がるのは当たり前。そのうえで、どんな衝撃や伝説を重ねるのかが注目されていた。その結果はどうだったのか。レポートを通じて記したい。【取材=長澤智典】

あの日の続きを、舞台を横浜アリーナに変えてふたたび描き出すように

BiSH

 1万2千人という大勢のファンの期待が充満した横浜アリーナ。ライブは、メンバーたちが戦士となって戦う映像からスタート。そして、「BiSH-星が瞬く夜に-」で幕を開けた。

 4月に幕を閉じた全国ツアー『BiSH pUBLic imAGE LiMiTEd TOUR』、同公演のアンコールの最後に披露したのが「BiSH-星が瞬く夜に-」だった。あのとき、大きな幸せを抱きながら、心晴れ晴れと「BiSH-星が瞬く夜に-」を胸に受け止めていたことを思い出す。まるであの日の続きを、舞台を横浜アリーナに変えて描き出すようだった。場内中の清掃員(ファン)たちも、気持ちをグッとつかむ胸打つ楽曲をもっての始まりに最初から胸をキラキラとさせ、互いに嬉しい高揚感に浸りながらこの歌を全身でしっかり受け止めていた。

 「BiSHが横アリきたぞー!!」の声を合図に、パフォーマンスは一気にラウドな唸りを上げた。「ヒーローワナビー」が轟くと同時に、フロアー中から清掃員たちの雄叫びが上がりだした。胸うずくつかみを持った歌を響かせるメンバー。沸き上がる高揚、カオスな音の中から振りまかれる気持ちを熱くする歌に胸の昂りを覚えていく。

 心の中で、何かがうずきだす。それは、新たな刺激を求めるための気持ちの胎動か。すべてのわだかまりを黒く塗り潰すように、BiSHは「PAiNT it BLACK」を突きつけた。胸を熱く昂らす高揚、メンバーも沸き上がる感情のまま、熱を持った歌声を放ち続けていく。興奮のあまり気持ちが嬉しく震えた。彼女たちと一緒に、すべての心のマイナスを塗り潰してやれ。そんな興奮のベールが、いつしか身体を覆っていた。

 センチメンタルさとロマンチックな色を塗り重ねた、メンバーの美しく、そして体温を感じる歌声。でも、その背景には破壊的な衝動を携えたアレンジが渦巻いていた。新曲の「HiDE the BLUE」が与えたのは、美しさと破壊的な興奮。親しみやすい歌に胸惹かれながらも、楽曲はつねに暴君の如く荒れ狂う。2つの魅力が交錯する様に触れたが最後、火傷しそうなくらいにまで気持ちがどんどん熱を溜め込みだしていた。

 「SCHOOLYARD」が飛び出すと同時に、軽快に疾走する演奏へ飛び乗り、メンバーたちの歌声が心地好く羽ばたきだした。その歌は、触れた人たちの背中にも羽ばたく翼を授けてくれた。一緒にシンガロングしながら、熱した気持ちのまま空へ向かって羽ばたき続けたい。なんて、心地好く想いを沸き立てる歌だ。彼女たちと一緒に、そのまま自由の彼方まで飛んでいきたい気分だ。

 とてもドラマチックな展開に胸踊らせたのなら、そのまま理屈も屁理屈も意識の中でグチャグチャにかき混ぜ、一気に呑み込んでしまえ。「社会のルール」に合わせ、歌い踊るメンバーたち。世の中のくだらないルールなどすべてポイッと蹴飛ばし、ただただはしゃげばいい。そんなフリーダムな気持ちへ彼女たちが導いていく。

 しっとりとした幕開け。胸をギュッとつかむ歌に気持ちが囚われた…と思ったら、楽曲は、一気にすべてを解き放つよう開放的な表情へ。胸くすぐる高揚のドラマを描きだす歌だ。「オーケストラ」に触れている間、身体中に眩しい光を浴びている気分だった。沸き上がる歓声。とても美しい衝動を覚える歌だ、喜び覚える感情が次々とあふれだす。まさに、これは気持ちを嬉しく解き放つドラマだ。

 一転、ミッドメロウな音の渦の中、優しく戯れるように彼女たちは新曲の「Life is beautiful」を歌いだした。光を求め、上がろうとしながらも、そのまま穏やかなうねりの中へ堕ちてゆくような。そんな揺れ動く感覚が心地良い。

 舞台上のあちこちから吹き上がった巨大なCo2の柱。「GiANT KiLLERS」の登場と共に、楽曲も感情も一気にバースト。気持ちが熱く熱く騒ぎだす。イケイケな感情のままガンガンに攻めるメンバー。力強い歌声だ。サビでは雄々しい声を張り上げ、清掃員たちを煽る6人。フロアー中から「オーオーオーオオオー」と雄叫びにも似た歌声が沸き上がっていた。互いに熱と熱をぶつけながら、共に昂る気持ちのまま熱狂の中で溶け合おうと歌い叫ぶメンバーと清掃員。その興奮の重なり合いに触発され、メンバーがこう叫んだ、「横浜アリーナ、ギア、上げていこうぜ!!」と…。

 無数の炎の柱が舞台上のあちこちで立つ。巨大な火の玉の熱に気持ちをグッと押されたのか、これまで以上の勢いと熱をもって、メンバーたちが「MONSTERS」を手に清掃員たちを攻めたてる。フロアー中から沸き上がる雄叫び。6人の煽りを受け、昂る興奮が収まらない。次々と身体中に熱狂を求めるアドレナリンが駆けめぐる。その熱した感情は、次の楽曲へもしっかり受け継がれていく。

 シャウトからの幕開け。ラウドでアイリッシュな「OTNK」に触発され、力の限り声を張り上げ、攻め続けるメンバーたち。昂る感情に何度も何度も炎を注ぎながら、メンバーも清掃員たちも荒ぶる音の中、グチャグチャに混じり合っていた。興奮と興奮が次々と重なり合い、熱が大きく膨らんでいく。

 ふたたび場面は、異なる表情を描き出す。切ない気持ちをリレーするように「My landscape」を歌うメンバーたち。胸打つ歌に心がグッと打たれた気分。いつしか一緒に歌の想いを分かちながら、メンバーも清掃員も歓喜した想いのまま歌の中で心を溶け合わせていた。大きな歌のうねりの中、喜々とした気持ちのまま共に肌を触れ合わせ揺れ続けていたい。

 「上がってこうぜ!」、その声を合図に飛び出したのが「SMACK baby SMACK」だ。破壊的な音と共に一気にバーストした楽曲。誰もがふたたび胸のエンジンをフルスロットルに、興奮の世界へ連れ出すハイウェイを走り出す。互いに熱を持ってぶつかりあう。そう、これぞライブだ。BiSHのライブだからこそ味わえる唸る興奮だ!

 お馴染み、ハシヤスメ・アツコの小芝居がスタート。彼女は「命の伝道師」として、命の大切さを伝えに横浜アリーナにやってきたことを力説。彼女には生きる時間のタイムリミットがあることから、生きることの大切さを力説したうえで命を落とす…が、それもすべては、次への布石だった。

 芝居を受け、BiSHが披露したのは、フォーキーな、みんなで一緒に笑顔で歌う合唱曲「生きててよかったというのなら」。温もりと親しみを覚える歌に触れながら、彼女たちの暖かい心模様を覚えずにいれなかった。

 続く「JAM」でもBiSHは、気持ちの内側から静かに沸き上がる熱を覚えながらも、エモーショナルでハートフルな楽曲を清掃員一人ひとりの心へ染み入るように歌った。この歌に触れあっている間、6人と心で深く繋がりあえていた気持ちも覚えていた。

BiSHはここがTO THE ENDではなく、ここからがSTART

BiSH

 ここからは、クライマックスへ向け熱狂のバトルが展開。穏やかに高揚を覚える気分と言うべきか、熱を上げて走りだした「ウォント」の上で、優しく歌いかけるメンバーたち。でもそれが、熱狂へと繋がる合図だった。

 舞台上から無数のCo2と炎の柱が吹き上がりだした。バーストした「ファーストキッチンライフ」爆裂するパンキッシュな楽曲に、気持ちの昂りを抑えられない。

 心地良いロックンロールな演奏に乗せ、メロディアスな歌を「スパーク」させたBiSH。途中、二手に分かれて遊戯していく場面も登場。まったりハートフルな面も描きつつ、終始、胸をスカッとさせる歌に心は嬉しく魅了されていた。

 さらに、心を嬉しく高揚させる「プロミスザスター」の登場だ。歌に歓喜を覚えると言えば良いだろうか。触れた人たちの心へ無上な嬉しさと高揚と光を与えるように、歌が持つ力を、沸き上がる興奮を、BiSHの「プロミスザスター」に改めて教えられた気分だ。ヤバいくらいに嬉しい高揚に心が支配されてゆく。なんて胸を歓喜な気持ちで包み込む歌なんだ。こういう歌に触れるたびに、昂る気持ちが嬉しくなる。

 「みんなでダンスしよう」の声を合図に飛び出した「DA DANCE!!」では、頭上高くから発射された銀テープがフロアー中に降り注いでいた。舞台上では、「DANCEしようよ」と誘いをかけるメンバーたちの姿も。可愛くはしゃぐ姿に合わせ、会場中の清掃員たちも一緒にはしゃぎだす。この心地良い一体感がたまんない。

 本編最後を彩ったのが、「beautifulさ」。軽快に疾走する青春パンクナンバーに合わせ、誰もがメンバーたちと一緒に夢中ではしゃぎ続けていた。とても明るく開放的な楽曲に包まれながら、誰もが無邪気にトゲトゲな指ポーズをしながら騒いでいく。いいよね、この笑顔で一つになった世界が。

 アンコール前には、「ここに立っていることで、東京ドーム公演だって夢じゃないなって思えてきた」(リンリン)、「BiSHはここがTO THE ENDではなく、ここからがSTART。これからもぶち噛ましていくんで」(セントチヒロ・チッチ)など、メンバーみんなとても前向きな言葉を投げかけていた。

 最後にBiSHは、「ここにいるすべての人に愛を込めて」と語りながら「ALL YOU NEED IS LOVE」を歌唱。優しく一人ひとりの心へ歌いかけたあとに、楽曲は一気にシンガロングなパンキッシュなスタイルへ。「ここには、いろんな人生を歩んでいる人たちがいます。でも、ここに足を運んでくれたみんなは仲間です。一緒に歌いませんか」の言葉へ呼応するように、メンバーらと一緒に熱く飛び跳ね、この瞬間をずっとずっと忘れたくない想い出として、心や身体に刻み込んでいった。

 BiSHは、6月27日に両A面シングル「Life is beautiful/HiDE the BLUE」を発売する。6月23日には、AbemaTVでこの日のライブの模様を放送することも決定。さらに、10月より全10公演をおこなう全国ホールツアー『BRiNG iCiNG SHiT HORSE TOUR』の開催も発表した。まだまだBiSHの動きからは眼が離せそうにない。