笹川美和、新しい世界への第一歩 SPゲストと紡いだ万感の15周年

音楽

 デビュー15周年を迎えるシンガーソングライターの笹川美和が13日、東京・日本橋三井ホールで単独公演『笹川美和 Concert 2018 〜新しい世界〜』の東京公演をおこなった。1月31日にリリースされた4年振りとなるアルバム『新しい世界』を引っさげて、13日の東京と27日の大阪の2公演をおこなうというもの。この日はスペシャルゲストに安藤裕子・池田綾子・城南海・冨田恵一・村上ゆきの5人が参加し、笹川の15周年を彩った。アルバム曲を中心に全16曲を披露したライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

懐かし楽曲も披露

笹川美和(撮影=(c)田中聖太郎 )

 BGMのピアノの音色がホールに優しく響く穏やかな空間の中で、続々と観客が席を埋めていく。この日は多くのゲストが出るということもあり、どのようなステージになるのか期待感に満ちていた。開演時刻になりゆっくりと会場の明かりが落ち、サポートメンバーの山本隆二(Apf/Key)・設楽博臣(Gt)・鈴木正人(Ba)・ASA-CHANG(Drs/Per)4人がステージに登場。それに続くように笹川がステージに。

 アルバムでも1曲目を飾る大橋トリオが楽曲提供した「紫陽花」でライブの幕は開けた。紫の照明がステージを照らすなか、透明感のある歌声を響かせる笹川。これからの季節を彩るように表現力豊かに歌い上げていく。ここで懐かしい曲をと披露したのは1stアルバム『事実』に収録されている「黒子」。笹川は「今歌ってみると楽しい」と初期の楽曲にまた新たな感覚、魅力を感じたよう。

 「影法師」に続き、普段のライブにはドラムがいないことが多いと話す笹川が、今回の編成でやってみたいと思ったという「水族館の人魚」をフルバンドで届ける。2010年にリリースされたアルバム『miwaGLITTER』からの情景が浮かぶような歌はどこか神秘的で、心地よいグルーブが癒しの空間へ誘なう1曲だった。

 ここからゲストを招いてのセクションへ。1人目は奄美大島出身にシンガー城 南海。笹川が城に提供した曲「晩秋」を2人で披露。奄美の景色が見えて来そうな2人の歌声。歌い終わると笹川が「今までで一番良かった」と嬉しそうに話す姿が印象的だった。そして、城をイメージし制作したという「月下美人」を城の三味線とともに届けた。異なるスタイルを持つシンガー同士のコラボレーションは化学反応を起こすかのように、相乗効果を生んでいた。

 続いては笹川と同じく15周年を迎える安藤裕子。今作の『新しい世界』でも作詞作曲で提供した「melancholic」を披露することに。この制作背景を語る安藤は「笹川は甘えん坊」をテーマにこの楽曲を作ったと明かす。同期ならではのハーモニーでグッと観客の心を掴んでいた。さらにここで、同じく15周年の冨田恵一(冨田ラボ)を呼び込み、冨田はピアノで参加し「琥珀色の涙」を演奏。男性目線で書かれたこの曲を1番は安藤、2番を笹川と歌うパートを分けカラフルに大人の雰囲気で届けた。

 ここで笹川がピアノの前に座り、ハナレグミのカバー「家族の風景」を弾き語りで歌い上げる。俳優の斎藤工が“齊藤工”名義監督を務める映画『blank13』の主題歌にも起用された1曲で、ピアノと声のみで歌の表情がより伝わってくるアレンジで、しっとりと曲の世界観を紡いでいく。そこにまさに楽曲の持つ風景が広がっていくようだった。

「これが自分だ」という曲が今後作れたら…

笹川美和(撮影=(c)田中聖太郎 )

 再び、ゲストを招いてのコーナへ。プライベートでも仲の良いと話すシンガーソングライターの池田綾子。その池田と笹川の2人でピアノの連弾で「あたしと私の往復書簡」を披露。仲睦まじく2人が並んでの歌唱は、息のあったピアノ演奏と歌で楽しませた。そこに、シンガーソングライターでピアニストの村上ゆきを招き、3人で「旅人」を披露。その「旅人」をその3人による美しい重厚なハーモニーでホールを包み、音が聴くものの体に浸透してくるよう。

 「今日盛り上げてくださったアーティストの皆さん、こんな私でも『頑張りましょう』と支えてくれるスタッフの皆さん、今日も来てくださっていて、長いこと私の曲を聴いてくれているみなさんのおかげ」と感謝を告げる笹川。その話に続いて披露されたのはデビュー曲の「笑」。何度も歌い続けてきたであろうこの楽曲を丁寧に、熱量の高い生命力に満ちた歌声を響かせる。音楽への覚悟が決まった時にこの曲に対する捉え方が変わり、より大事に歌うようになったと話し、この曲を歌い続けていくと宣言。そして、「これが自分だ」という曲が今後作れたら幸せだと語った。

 本編ラストは今回のアルバムで唯一の自作曲「サンクチュアリ」。音楽、歌という聖域があるから続けてこられたという、未来への決意と覚悟に満ちた楽曲。それは歌にも表れていた。強さと弱さの両方が混在する歌で本編を終了した。

 アンコールを求める手拍子に応え、再びステージに笹川が登場。ドラマチックなアレンジが魅了した「続く」、そして、まばゆい光のなか、感情を揺さぶりかける存在感のある歌で紡いだ「拝借」の2曲を届け、『笹川美和 Concert 2018 〜新しい世界〜』東京公演は大団円を迎えた。笹川がステージを去った後も鳴り止まない手拍子に、再びステージに戻り、観客に感謝を告げ東京公演の幕は閉じた。

 東京スカイツリータウン(R)にあるコニカミノルタプラネタリウムで9月28日おこなわれる“天空”の音楽イベント『LIVE in the DARK』出演することを発表し、さらに自身初となるベストアルバムも制作中とのことで、15周年のお楽しみはまだまだ続いていく。