宇多田やラルク作品にも導入、ハイレゾ音源にみる音楽の未来とは

音楽評

 過去にヒットした楽曲を高音質で再発売(楽曲配信)する試みが最近の音楽業界でみられる。例えば、1974年に放送され今もなお人気が高いアニメ『宇宙戦艦ヤマト』のサウンドトラックなど。おおむね「ハイレゾ」という言葉で表現されているが、日本を代表する音楽家の小室哲哉(55)も9月24日のツイッターで「ハイレゾが早く最低限のスペックになってほしいな、音を、紡ぐ者達からしたら」と、普及への希望を綴っていた。そもそも「ハイレゾ」とは何なのか。

最近増えるハイレゾ音源配信、ハイレゾとは

 「ハイレゾ」は、ハイレゾリューション(High-Resolution)の略語で、映像でいうところの「高解像度」。要は「高音質音源」のことをいう。

 馴染みが深いCDは「44.1kHz/16Bit」というフォーマットで記録されている。4G以上の容量を有するDVDなどに対して、CDは700MBや600MB前後とその容量は限られている。このため、音源を記録するためには、1曲1曲のファイルサイズを落とす必要があり、レコーディング時における高音質フォーマットを圧縮しなければならない。圧縮するということはその分、音質が下がるということになる。

 近年では主に「96kHz/24Bit」や「48kHz/24Bit」という形式でレコーディングされていて、ハイレゾ音源と言われる高音質音源の楽曲配信では、レコーディング時の音質を保った状態で行われている。CDと比べると、音の情報量は最大で約6.5倍も違う。この数字だけ聞いてもいかに高音質であるかお分かりいただけると思う。

 単純に表現するならば、高い周波数まで記録ができ、高いビット数でレコーディングすることによって、よりきめ細かい音が再現できるのである。

 私見だが、音の天井が高くなり開放感が出て1音1音が凄く聞き取りやすく、よりリアルな“音場”に近づいたという印象だ。このハイレゾ音源に聞き慣れると、CD音源がすごく圧迫された“窮屈なもの”に感じて聞こえてしまう。

 しかしながら、楽器の歪みやシャウト系の歌声を重んじるロックでは、従来の「44.1kHz」というフォーマットの方がカッコ良く聞こえるものもあり、一概にはハイレゾ音源が全てとは言い切れない。

 オーケストラやジャズ系などは、ハイレゾ音源の方がダイナミックレンジ(音の最小音と最高音の幅)も広く、気持ち良く聞ける。ソースいわゆる音の素材やジャンルによって使い、聞き分けるのがベストとも言える。

 今ではCDやmp3で出ている音源と同じタイトルが、ハイレゾ音源として楽曲配信され始めている。例えば、800万枚以上のセールスを記録した宇多田ヒカルの1stアルバム『First Love』もハイレゾ音源で配信されている。当時は、日本の音楽界の潮流を変えてしまうほどの衝撃を与えた宇多田楽曲。その歌声や音源の“元の質”を聞き比べるのも面白い。

 また、2014年10月10日にはL’Arc~en~Cielの新曲「EVERLASTING」もハイレゾ配信された。この後の10月22日にも既発のアルバム全12タイトルもハイレゾ化し一挙に配信される予定であるため、音の生ま変わりに着目してみるのも良いかと思う。筆者は非常に興味がある。

ハイレゾ音源を聞くには専用の機器が必要

 そのハイレゾ音源だが、その音源を聞くには普通のシステムでは本領発揮はできない。「96kHz/24Bit」以上で再生出来るDAC(デジタル信号をアナログ信号に変換する機器でDIGITAL ANALOG CONVERTERの頭文字を取ってDACと呼んでいる)やハイレゾ対応のオーディオ機器、そして再生ソフトが必要になってくる。

 CDプレーヤーには基本、このDACが搭載されていてCDのデジタル信号をアナログに変換してアンプに送っている。しかしCDプレーヤーは「44.1kHz/16Bit」にしか変換ができないので、それ以上でのレートで変換出来るDACが必要となりPCに直接繋げられるUSB DACが今の主流と言えるだろう。

 あとは先日、新型が発表されたSONY製「ハイレゾウォークマンA10シリーズ」を使えば手軽にハイレゾ音源を楽しむことが出来る。価格も、前モデルよりもリーズナブルになっているので手にしやすくなった。これは2014年11月8日に発売予定である。

 更に楽しむためには、上位モデルのヘッドフォンやイヤフォンが必要となる。最近では洒落ているヘッドフォンも多いのでファッションと合わせてコーディネートしてみる楽しさもあろう。先日、あるテレビ番組で、高級ヘッドフォンが「ヘッドフォン女子」という名目で若い女性にも注目されていると取り上げられ、話題となった。

 私見だが、どのメーカーも本体価格1万円を超える代物は顕著に音の質感は変わる。更に高級なものになると10万円超えもあるが、これはスピーカーで聴いているような空気感すら感じ取れる。筆者はヘッドフォン特有の耳に張り付くような感じが嫌で敬遠してきたが、「ハイレゾ+高品位ヘッドフォン」の組み合わせだと気持ちよく聴くことが出来た。

 今や音楽はyoutubeなどの動画サイトの試聴音源で満足してしまっている人達も多いと思われるが、一度、この高音質な音源を体験して頂きたいと願う。映像が4Kになり進化して行くなかで、音楽を聴くリスナーがCD音質でストップしてしまっているのはもったいないと思うからである。高音質で聞く音の奥行きと深み、更に、その向こうにある作者の想い。

 音楽産業が厳しいと言われる昨今だが、ライブやコンサートはとりわけ好調だ。その場にいるような臨場感を楽しむ、それを担う記録媒体や電子技術の進歩も重要ではある。音の魅力を感じる一つとして「ハイレゾ音源」を体感するのも音楽を楽しむ幅が広がるのではないかと、筆者は思う。 

記事提供:MusicVoice
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