華原朋美なぜロックをカバー?タイプが異なるLUNA SEA「ROSIER」を歌う理由

音楽評
なぜ華原朋美はロックをカバーしたのか
なぜ華原朋美はロックをカバーしたのか

 「本当に」という言葉を付け加えたくなる程、ここ数年は本当にカバー曲が流行っている。最近でもクリスハートやBENI、May J.などのリリースが相次いでいて、しかもどれも良い売り上げを記録している。

 カバーアルバムの良さは、昔の楽曲のメロディがエバーグリーン=色あせない=であることを再確認でき、且つその曲を聴いた時に思い出される情景の懐かしさなど様々あるが、やはりオリジナルアーティストとは“一味”違ったテイストを堪能できるところにもあるだろう。

 異なる男性あるいは女性がカバーした時にみる表情の違いは、全く別の楽曲を聴いている感覚さえ覚える。なかにはアレンジを極端に行っているものもあり、歌詞を変えてしまえばオリジナルとしても通用しそうなカバー曲も。いずれにしても聴いていて刺激を受ける。

 そうしたなか、華原朋美(40)がカバーソングアルバム第2弾『MEMORIES2』を10月1日に発売することが決定した。第1弾は『MEMORIES』で、「Departures」や「恋しさとせつなさと心強さと」など含む全10曲を収録。華原自身の青春時代ともいえる90年代を中心とした楽曲セレクトだった。

 今作『MEMORIES2』では、時の枠大きく広げ1960年代から2010年代まで約半世紀に渡る全ての代表曲を網羅した。前作、今作ともにプロデュースはsurfaceなど手掛けてきた武部聡氏が担当している。

 このカバーソングアルバムの『MEMORIES』と『MEMORIES2』はともにオールタイムヒット曲集ということで、さまざまな年代の楽曲が収録されているわけだが、今回の『MEMORIES2』には少々驚いた。収録曲を1曲ずつみていくと6曲目に違和感を感じた。LUNA SEAの代表曲のひとつである「ROSIER」だ。

 収録曲全10曲のなかでも一際目立つこの楽曲。明らかに華原のイメージとはかけ離れたものだ。なぜ、LUNA SEAの「ROSIER」なのだろうか? 単純に考えれば華原自身が好きなのであろうと想像つくが、それにしてもなかなかパンチのある楽曲を収録したもんだ。カバーした理由について所属レコードメーカーであるUNIVERSAL MUSIC JAPANに問い合わせてみたところ以下の回答があった。

 「カバーアルバム第2弾をやる機会があるならば『次は絶対男性ヴォーカルの曲を歌いたい』という本人の希望もありその中でも今まで歌唱したことがなかったジャンルにもトライし、彼女の進化した表現力を発見出来る楽曲、アーティストとしてステップアップできる楽曲として今回選びました」。

 筆者も同楽曲を聴いてみたところ、オリジナルほどの激しさはないものの、これまたどうしてか、新しい感じの楽曲のように聴けてしまうから不思議だ。少し歌謡曲テイストが強すぎる気もするが華原らしさも出ていて新鮮である。

 その昔、LUNA SEAのトリビュートアルバムでHigh&MightyColorが同曲をカバーしていたことがあった。それとはまた違う雰囲気を醸し出している。趣の異なる両楽曲を聴き比べてみても面白いのではないかと思う。

 このアルバムの収録曲のうち加藤登紀子の「難破船」も先行配信されているが、これがまた華原の声にあっていて心地良く聴ける。この路線はハマっていると思うし、この楽曲から、収録曲の山口百恵「いい日旅立ち」や坂本九「見上げてごらん夜の星を」も期待を裏切らない“デキ”に仕上がっていることを感じさせる。

 ちなみに「難破船」と「ROSIER」はともに、公開中の映画『喰い女ークイメー』のイメージソングとなっている。

 そしてつい先日、アルバムの1曲目を飾るGLAYのヒット曲で馴染みが深い「HOWEVER」のミュージックビデオ(MV)もYouTubeで公開された。このカバー楽曲では、歪んだギターサウンドも加わり、バラード特有のストリングス=弦楽器など=の壮大さも相まって素晴らしいアレンジに仕上がっている。オリジナル曲とはまた異なる魅力が感じられる。

 一時は歌手活動を休止しどん底を味わった華原。7年ぶり復帰を飾る再デビュー曲として選んだのは、映画『レ・ミゼラブル』の劇中歌「夢やぶれて-I DREAMED A DREAM-」と、カバー曲だ。いわば“カバー曲”は今の華原にとって重要な要素となっている。

 このブランクによって肝心の歌唱力は衰えるどころか、確実にグレードアップしている。今回のようなカバーアルバムに挑戦することによって歌手としての幅も広がって行くと思う。今後リリースされるであろうオリジナルアルバムにも期待が高まる。

http://www.musicvoice.jp
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