元ステポニが新バンド、解散後に訪れた初めての下積み そして再契約まで

音楽

 メジャーシーン。それは誰もが夢見る世界だ。大歓声を受けてスポットライトを浴びるその姿。スポーツに然り音楽に然り。夢舞台であるこそ味わえる感覚。しかし、そこに立ち続けることは難しい。競争社会のなかで実力と人気が伴わなければすぐに引きずり降ろされる。音楽業界ではメジャーに対する意識は変わりつつあるがそれでも憧れには変わりはない。

 メジャーで活躍していたミュージシャンがインディーズに下ることがある。その理由は様々だ。しかし契約が打ち切りとなった場合その先は暗い雲が立ち込めている。良く見られるバンドの解散。大抵はボーカルとギターがその後も変わらず活躍し続ける。一概には言えないものの、彼らに隠れて支えてきた他のパートのその先は必ずしも明るいとは限らない。

 2年前。人気を集めながらも解散したバンドがある。女性3人組ガールズロックバンドのステレオポニーだ。音楽配信サイトが企画する次世代アーティストの頂点を決めるコンテストで2位の成績を収め、高校在学中にメジャーデビューを果たした。若々しい心が躍るロックサウンド、ルックスも相まってすぐに人気を集めた。セカンドシングル『泪のムコウ』ではオリコン週間チャートで2位を獲得。その後も順調な売れ行きを示していた。

 ライブでのパフォーマンスも評判が良かった。当時は、出演するのに難しかったロックフェスにも何度も呼ばれ、共演からも絶賛を受けるほど。米国やアジアなど海外でもライブをこなすなど活躍の場は国内外に広がっていた。

 しかし、2012年12月。ステレオポニーは衝撃の解散発表と共に、音楽シーンから姿を消した。

 それでも、やる気に満ちていたドラムSHIHO(しほ)とベースのNOHANA(のはな)は次の音楽を目指して、サポートギターだったMAO(まお)、そして新たに発掘したerica(えりか)に呼びかけて新ガールズロックバンド「Draft King」(ドラフトキング)を結成。体制も整えていざ音楽シーンへと気持ち高らかに向った。しかし現実はそんなに甘くはなかった。

 ステレオポニー時代のファンが流れてくることを期待した。しかし最初に行ったライブは10人にも満たず、あてが外れた。厳しさを痛感した。球技選手で言えばボール拾いや道具管理までをスタッフに任せていたメジャーとは異なり、身の回りのことは全て自分で行うしかない。ましてや生活費も稼がなければならない。心が折れそうになったことも、迷うこともあった。ゼロからのスタートであることを肌身で感じた。

 下積みを経験せずメジャーの舞台に立った。その栄光を味わっただけに挫折の幅も大きかった。バイトも、身の回りのことも行っていくうちに先が見えなくなった。「私このままでいいのかな」。めげそうになったときに支えてくれたのはファンだった。少しずつではあるものの「新規のファン」が増えていった。結成半年で行った単独公演には150人が集まった。そして結成1年で300人までに膨れ上がった。

 それでもインディーズには変わりはない。先が見えない。砂上を歩いているようだった。そんなときに舞い降りたのがサンミュージックとの契約だった。「信じられなかった」。青天の霹靂とも言うべき契約話。サンミュージックと言えば森田健作やベッキーなどが所属する大手芸能事務所だ。

 実はサンミュージックとしても新たな挑戦である。創業47年目にして初めてガールズロックバンドと契約を結ぶのだ。正直、どこまでできるかは不透明だ。だからこそファンも含めて二人三脚、いや三人四脚で進めていく。

 その彼女らが奏でる音楽は爽快ロック。この2年間の苦悩を感じさせない極めて軽やかで前向きなサウンドだ。分かりやすいフレーズながらも転調が変わるギター。そしてタイトに刻みつつも可愛らしさが同居するベース、更に「絶対に楽しんでもらえる自信がある」と豪語するドラムの強気と激しさ。何よりもボーカルの歌声とパフォーマンスは圧巻だ。観客の心を一瞬にして掴むキャラクターと堂々とした立ち振る舞い。「ライブが何よりも好き」と言う彼女たちならでは音楽には、迷いや不純などは微塵も感じられない。

 ゴールが見えなかった彼女達に道筋は出来た。さあこの道をどう進んでいくか。まずは12月17日の東京・渋谷eggmanだ。ステポニ時代からのゆかりある場所。この場所で、彼女らのパフォーマンスでファンの心を掴み、Draft Kingここにあり、と見せつける。

記事提供 MusicVoice
記事提供:MusicVoice

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