THE ALFEEが40年続けられた理由、今も「初客を意識」する謙虚さ

音楽評
40年が詰まった「THE ALFEEぴあ」の表紙(C)ぴあ
40年が詰まった「THE ALFEEぴあ」の表紙(C)ぴあ

 デビュー40周年を迎えた3人組ロックバンドのTHE ALFEE(ジ・アルフィー)の活動40年の歴史を詰め込んだムック本『THE ALFEEぴあ』(発行=ぴあ、販売価格=2500円)が先月30日に発売された。

 もともとテレビやラジオの露出が多い彼らだが節目の今年は何本も特集が組まれ、目に、耳にする機会は多かった。その度に伝わってくるのはメンバーの仲睦まじさ、そして飾らない姿。バラエティ番組への出演が目立つためその印象がクローズアップされがちだがヒット曲もコンスタントに出し続け、御年60歳を迎えた今も現役としてライブにこだわっている。これまでに2400本をこなしている。音楽に対して極めて貪欲とも言える。

 同書ではロングインタビューや桜井賢(59)・坂崎幸之助(60)・高見沢俊彦(60)への個別100の質問などを通してロックミュージシャンとしての魅力を徹底解剖している。世間一般が抱える、彼らに対する「バラエティ」の先入観ががらりと変わる一冊でもある。

苦節10年「何がヒットするか分からない」

 高見沢は今年出演したあるテレビ番組で全く売れなかった当時を振り返って以下の趣旨で語っていた。

 「アルフィー3人で役割分担を決めて僕が作曲を担当することになった。作っても鳴かず飛ばずで、狙った曲がヒットしなくて。そこであらゆるジャンルの曲を作ったが、期待していない曲が大ヒットとなった。それが『メリーアン』だった。何がヒットするか分からない」。

 大学在学中に結成した。当時は学生気分が抜けずに、ハングリー精神の欠如が売れなかった理由とも語っていた。ライブを行っても人が集まらず苦汁をなめた。「メリーアン」のヒット曲に恵まれるまで10年の歳月がかかっていた。このヒット曲でアルフィーとしての形が定まった。同時にラジオ番組等への出演を通して聴取者(ファン)の声を聞き、求めているものを把握するように心がけた。

 同書のロングインタビューでも、売れなかった時代の経験がライブに対する想いへと反映されていることが伺える一文がある。

 ――坂崎「どの会場でコンサートをやるときでも、そういう方(今年夏に行われた『40年目の夏公演』が初めて見たコンサートと答えたファン)が必ずいる、と意識しています。それが伝わったなら、嬉しいですね」――。

 ――高見沢「初めてアルフィーを生で見るって人のためだけではないにしても、MCで笑えるトークをするのは、ある意味名残りです。昔、ヒット曲もないし、アルフィーの名前すら知らない人たちの前でライブをやってきた名残り。初めてのお客さんでも掴むために始めたことだから。それが40年経ったら、喋るなと言われても、喋ってしまうようになった(笑い)」――。

 常に「初めてアルフィーを見る人」のことを考えていると語ったその言葉からは、大御所の位置にある今でもなお「知ってもらい魅力を感じてもらう」ための努力を惜しまずにやり続けている謙虚さが見えてくる。バラエティ番組に出る理由もそこに隠されていそうだ。

ライブバンドの強さと意義

 彼らが大事にしているワード「現役」そして「ライブバンド」。同書の冒頭にも書かれている編集者の書き出しにはこう綴られている。

 ――「コピーやカバーだろうと、オリジナル曲だろうが、10代の観客だろうと、60代のビートルズ世代だろうが、いついかなるステージに立ち、どのようなオーディエンスと向き合っても臆することはない。アルフィーらしい演奏ができる。ライブバンドとはそういうことだ」――。

 そこにいる観客あるいは視聴者を喜ばせるのがライブバンドの意義。そう定義しているとするならば、常にライブに立ち、常にメディアに出て、”今吹いている風”を感じるのは顧客ニーズを把握することが重要な企業経営におけるマーケティングにも相通じる。彼らが40年続けてこられた理由がこの書にある彼らの言葉を通じて感じることが出来る。

 同書ではほかにも、7月26日・27日にさいたまスーパーアリーナで行われたアルフィーの記念ライブ「40年目の夏」のライブレポートや、全作品・全公演などを記録した40年史などの貴重な資料なども掲載されている。また、メンバー個々に行ったファンからの質問の中には、桜井に対して「サングラス外す日はいつ来るのでしょうか」という内容もあった。

http://www.musicvoice.jp
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