布袋寅泰「ギタリスト回帰」が意味するもの、変わる音 新書で語る

音楽評
30日発売の書籍『布袋寅泰ぴあ』(発行・発売=ぴあ)の表紙。布袋ギターを表紙に飾る意味は
30日発売の書籍『布袋寅泰ぴあ』(発行・発売=ぴあ)の表紙。布袋ギターを表紙に飾る意味は

 日本屈指のギタリスト布袋寅泰(52)が今の心境を語り尽くした書籍『布袋寅泰ぴあ』(発行・発売=ぴあ、販売価格=1620円)が30日に発売される。原点回帰で迎えたソロ25周年。最新アルバムでは“歌わない”、“海外プロデューサーを立てる”というソロで貫いてきた思考を振り切り、ギターサウンドだけを求めた。同書では布袋へのロングインタビューを通じて、その考えに至った経緯や想いなどを過去を振り返ることで浮き彫りにしている。この書では触れていないが、ライブ活動休止を発表したかつての同僚・氷室京介に送ったラストライブ共演切望の真意がうっすらと見えてくる。

布袋ゼロからのスタートと原点回帰

 古くから彼を知る人は英ロンドンに活動拠点を移すと聞いてあの頃を思い出したのではないか。BOΦWY時代、そして彼の方向性を決定づけた『GUITARHYTHM』の誕生。ソロ後に発表した同作品はそれまでのバンド活動では見られなかった電子音をふんだんに取り入れたものだった。それがリリースを重ねるごとに色濃くなった。あれから25周年。この間をギタリスト、ボーカリスト、プロデューサーと活動の場を広げた彼が節目で選択したのは「ゼロからのスタート」だ。

 原点とも言えるギタリストへの回帰。自身は純粋にギターサウンドだけを追い求めた。映画音楽ではクエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル』でテーマ曲を手掛け、世界にその名を広めた彼が改めて腰を据えて世界市場を視野に入れたのが1年半ぶりとなるアルバム『New Beginnings』だ。このアルバムでは“歌わない”、“海外プロデューサーを立てる”というソロで貫いてきた思考を振り切った決断をしている。いわば原点回帰で挑んだアルバムであり、これが布袋サウンドにどのような影響をもたらしているのか。

インタビューで語る回帰のきっかけ

 ぴあから発売される同書には、ソロ25周年を振り返りながら、世界を見据えたアルバム『New Beginnings』(10月1日発売)と、10月17日から始まる日本ツアーへの想い、そして布袋の魅力を余すところなく伝えている。ロングインタビューに始まり、海外での活動タペストリー、そして音楽仲間でプロデューサーの亀田誠治との特別対談。更には彼をリスペクトするBUCK-TICKの今井寿らのコメントを掲載している。

 このうちロングインタビューでは、BOΦWY解散後からCOMPLEX、そしてソロとしての活動、更には時折の心境変化について触れ、“ギタリスト布袋”への回帰に至った思いなど、包み隠さず語られている。ここで一部を紹介したい。

 布袋の理想を求めたのは『GUITARHYTHM』だった。しかし同書ではこのように語られている。

 「レコーディングのやり方にしろ何にしろ、完成してきた兆候なのかもしれないけど、『SCORPIO RISING』とか『DOBERMAN』とかあのあたりはやばいな、って感じてた。GUITARHYTHMシリーズも同様で、『IV』のあたりから自分に縛られたくない、退屈から逃げだしたいっていう思いが強くなった」。

音楽と映像が今後のテーマに

 変化を求めるのが布袋のスタイルであり、前回のライブでベーシストのトニー・グレイを入れて歌ではなく、ギターに専念できたことが「良い結果」をもたらしたとも語っている。また、新たな布袋サウンドについては次の通りに自信をのぞかせた。

 「今思うスタイルで、今まで通りファンのみんなに刺激的な作品を届けたい。カッコいいことは保証するので楽しみにしてほしい。歌わないとか言うと寂しかったりもするだろうけど、ギターに集中するわけだし、今まで聴いたことのない布袋サウンドだと僕のファンは歓迎してくれると信じてる」。

 そして、今後の方向性については、「音に合わせた映像であり、映像に合わせた音であり、表現として一体感がすごい。これが今後の一貫したテーマになっていくと思う。僕のパフォーマンスも含めて、いままで観たことのない映像と音のコラボレーションだったでしょ。テキスタイルみたいな和柄を曼荼羅的に、広義にアジアを意識した観せ方をする配慮とかもしながらね」。

新書では多角的に布袋音楽の魅力を照らす

 このように、ソロ25周年、そして50歳を超えた布袋がこれまでを一区切りして挑むのがこれからの活動であり、世界を見据えるための原点回帰であることが伺える。同書では、過去から今、そして未来を語る布袋の姿をインタビューという形で明らかにしていき、そして亀田誠治との対談やこれまでを振り返る軌跡などで多角的に「布袋音楽」を浮かび上がらせている。

 また、インタビューには、海外で活動の場を広げている日本人アーティストにも触れている箇所がある。例えばきゃりーぱみゅぱみゅやMIYAVIなど。また、葉加瀬太郎、上原ひろみ、コブクロの小渕健太郎との交流なども述べ、自身が体験した日本と海外の音楽の違いなども説明。

 布袋のインタビューを通して未来の音楽の姿も伺える書となっている。

http://www.musicvoice.jp
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