きゃりーや初音ミクに共通するサウンド「ダブステップ」その魅力とは

音楽評

 音楽にもサウンドの流行り廃りはある。最近の流行りと言えば「EDM」と言われるエレクトロダンスミュージックではなかろうか。日本で言えば小室哲哉、そしてPerfumeなどの楽曲をプロデュースする中田ヤスタカらがその代表格と言えよう。最近でもあのSEKAI NO OWARIが新曲にEDMを取り入れた。日本でも流行し始めているEDMのなかに「ダブステップ」というものがある。

 きゃりーぱみゅぱみゅの楽曲「インベーダーインベーダー」を耳にしたときだった。「愛くるしい楽曲だな」と思うと同時に「アレ?」と感じるところがあった。じっくり聴いてみると明確にダブステップの存在があった。間奏部分で思い切り豪快なダブステップが展開されていた。

 初音ミクなどに代表される「ボーカロイド」を駆使して制作される様々な楽曲。活気を決して失わないこの“ボカロ”シーンでもダブステップは現在進行形で積極的にフィーチャーされている。そして、海外アーティストでは「SKRILLEX」という若きDJが恐ろしい程の勢いでEDM界で活躍し、近年の「ダブステップの象徴」と表現しても決して過言ではない。

「ダブステップ」とは

 インパクトある語感の音楽ジャンル「ダブステップ」。近年、国内外でも頻繁に聴くエレクトロミュージックのスタイルだが、「ダブステップってなに?」と尋ねられても的確に返答するのは難しいのではなかろうか。

 というのも、ダブステップの背景には様々なバックボーンとクラブミュージックの礎があり、一言でダブステップの解釈を共有するのは難しい。「ダブ」はもちろんDJの手法として明確な定義がある。後にレゲエなどの音楽に頻繁に取り入れられた事で一般的に周知されたのではないだろうか。

 リアルタイムで音響効果をプレイしたりする技術的な解釈でもあるが、最終的な音にあまりにも特徴があり、かつ、様々な音楽スタイルに素晴らしく応用が効くという点で、物好きなミュージシャンは早くから食い付き、レゲエはもちろんロックシーンでも90年代あたりから前衛的なアーティストによる「積極的な切り口の作品」によりメジャーシーンに押し上げられ、その世界ではたちまち公共的な手法として知られるようになった。日本の歌謡曲やヒットチャートの楽曲でもさりげなく耳にしたりする。

 「ステップ」は2Stepという種別があり、ハウスミュージックの新たな解釈でもある。特徴としては、2つの強拍を軸に構築されたビートが基礎、とでも言おうか。さほど耳馴染みのないビートでありながらも身体がすぐに持っていかれる様な、特徴あるグルーヴ感の上にミニマル的な楽器のトラックが気持ちよく踊る―、そういった素敵な感覚の音楽だ。

 00年代あたりから主にエレクトロシーンではドラムンベースが進化したビートに、この2Stepのビートが融合し、大変ややこしくも美しいテクノがアンダーグラウンドでない場面でも耳にする機会が増えた。この時代のロックフェスなどでも、DJセットのあるステージでは頻繁に出会えた事から、比較的近年の音楽と言えよう。

EDMのなかでも“ポピュラー”なダブステップ

 このように追っていくと「では、ドラムンベースってなに?」となってくる。エレクトロミュージックシーンのなんやかんやを紐解いていくとキリがない。「ドラムンベースは、テンポが倍で、ベースがブイーンって感じで、日本では小室哲哉さんが当時最初に取り入れて…」。

 「さっきのミニマルってのは?」…、「最小限って意味だよ!いいからコレとこれと、あとこいつを聴きなさいよ。あとコレも忘れちゃダメだぞ」という感じになってくるだろう。結局は説明するより盤をいくつか聴いて楽しんで解釈するのが最適だ。

 主題の「ダブステップ」だが、最近EDMというジャンルが世間的に旋風を巻き起こしている。その「EDM」の中で最も頻繁に耳に出来るのがダブステップだ。音楽的な説明よりおそらくこの方が容易に伝わるのではなかろうか。

ジェイムス・ブレイクでみるダブステップの二面性

 しかし、ここ数年で大ブレイクを期した英ミュージシャンのジェイムス・ブレイクの音楽性だが、これもまたダブステップだ。ジェイムス・ブレイクの盤を聴いて「こいつはナイスなEDMだ」と評した人は少ないと思われる。

 EDMの「上がる」感じの要素はさほど見当たらず、むしろ「静かに響く」と感じた方が多いのではなかろうか。筆者もそのように思う。

 「EDMはめっぽう景気良くアガるダブステップ」が多いなかで、ジェイムス・ブレイクやその周辺、その背景のダブステップは「肉体的というよりかは精神に直接訴える」感覚の様な、これら相反した興味深い矛盾がある。

 強烈なキック強拍のフィードバックと音域を縦横無尽に暴れ狂うワブルベース、フルレンジで無差別に覆い被さるシンセサイザー。音の塊を浴びるや否や、問答無用で身体が反応せざるを得ない“オラオラ”感。

 反して、この世の終わりの様な重低音とメランコリックなアナログシンセの音色。訴えかける様に構築されたビートは、気が付いたら精神に侵入されていた様な感覚と多幸感。

 どちらも「ダブステップ」だ。

ダブステップの未知に秘めた可能性

 近年の音楽シーンに於いて、重要な位置で活躍するこのダブステップは、先述を根拠とした「未知の可能性」を秘めた存在でもある。

 一つの解釈ではあるが、可能性を秘めたジャンルは量産し皆で楽しみ踊る、はたまたヘッドフォンで各々、精神世界へと旅行に行く。ジャンルの確立から新たな素敵な音楽を産み出すエネルギーは、まだ誰しも想像がつかない未来の素晴らしい音楽への架け橋であると、筆者は信じている。

 ミニマルがテクノへと進化し、ハウスがエレクトロシーンを拡大させ、ドラムンベースが様々なエディット手法を分岐させた様に、「ダブステップ」という音楽が今後、どの様な素晴らしい未来を示してくれるのか。楽しみでならない。 

記事提供:MusicVoice
記事提供:MusicVoice

コメントを残す